【お盆料理ー8月】~料理レシピ集金沢から~  
(作り方レシピにリンクできます) 

 


お盆にはあの世に旅立った

亡くなった人のたましいが、

懐かしい我が家に帰ってくる……

……と昔から言われています。




お盆の期間は、一般的には

新暦の8月13日~16日の4日間です。

昔は、旧暦の7月13日から16日がお盆でした。

新暦でいうと、8月の中ば~9月の始め頃です。

つまりその年によって違っていたということになります。

今年(2023年)なら、

新暦の8月28日~30日が旧暦のお盆です。



明治6年(1873年)に日本は新暦になり、

多くの地域では分かりやすく

ちょうど1か月ずらして8月15日前後にお盆としました。



でも例外的に新暦の7月13~16日にお盆の地方もあります。

東京などの大都市部、

金沢市の旧市街地、沖縄、奄美地方です。

母の実家は金沢の旧市街地だったので

7月15日に

父の実家は田舎だったので

8月15日に

お墓参りに行きました。

 

   
「お盆」と料理を運ぶ「お盆」

どっちも「お盆」ですね。

なぜ同じ名前なんでしょうか?

調べてみました。


「盆」とは本来は、文字通り

「ご先祖様への供え物を置く容器」

のことでした。


私はお盆って台所にいっぺんに

お茶碗やお皿を持っていける

実用的なものとしか考えていませんでした。

 
 

旧暦7月1日は地獄の蓋が開くので

釜蓋朔日(かまぶたついたち)と呼ばれています。

この日からお盆が始まります。

地獄のふたが開くとは……

ああ、おそろしや……。






あの世からの道は遠くて、旧暦の7月1日に

出発しなければ、お盆に間に合いません。

ご先祖様たちはその日を待ちかねたように

釜の蓋から飛び出します。

 
お盆は盂蘭盆会(うらぼんえ)の略で、

「地獄で逆さ吊りにされて焼かれる

苦しみから解放する」

という意味の

サンスクリット語(ウランバナ)だそうです。

ほんとは怖~い意味だったんですね。

じゃあ、極楽に行った人はどうなるんでしょうか?

極楽に行った人は極楽なので、

楽しくてこの世には戻る必要もないのでしょうか。

と思ったら違うんです。

地獄とは「あの世」のことだそうです。

地獄の釜のふたを開けるように命じるのは

あの”えんま大王”。





旧暦の7月1日は新暦では

今年(2022年)の場合
8月16日です。

現代日本では「山の日」が

昔は釜蓋朔日で地獄のふたが開く日、

そして旧暦の7月13日~16日は

新暦では
8月28~31日です(2023年)






お盆期間中のタイムテーブルは

お盆の初日(旧暦13日)に死者の魂をお迎えして、

旧暦14~15日に久しぶりに一緒に過ごして

最終日(旧暦16日)に

お見送りするという流れです。



まず旧暦13日の夕方に「迎え火」を焚いて

ご先祖様をお迎えします。

火を焚くのは、ご先祖様が迷子に

ならないように……との願いからです。

お盆にはたくさんの魂が自宅をめざして

移動すると考えられています。

その光景を想像してみて下さい。

まるでお盆の帰省の車のようです。

その中で間違わずに帰ってきてもらうために

暗いとわかりにくいので火を焚きます。

そして旧暦16日の夕方暗くなってきたら

「送り火」を焚いて送り出します。


















”火”なんて危ない……と

最近はかわりに盆提灯が使われることが

多くなりましたが、やはり本物の火を

焚いた方が風情があるというか

ご先祖様も見つけやすいと思うのですが。

危なくないくらいの小さな火を焚きたいです。

 














 
お盆の間、ご先祖様は

精霊棚に滞在するそうです。

私は精霊棚なんて特別な棚は作らずに、

部屋の棚を利用します。



夏の果物や大好きだった食べ物を

お供えするといいですね。



ちなみに私の父の大好物は

あんまりたくさんあり過ぎて

棚にとうてい並べられないんですが、

一応書き出してみると、



棒鱈・かいぼし(正月の煮干し)・

しじみのおすまし・にしんじゃが・

すき焼き・かきもち・にっしんぼ(鯡の糠漬け)・

せん切り(切干大根)の味噌汁・海老大根・

おからの煮物・大根と人参の酢和え・

タラの昆布しめ刺身・イワシの味噌煮・

干しカレイ・ごぼうの天ぷら・豚カツ・

がらうどん(素うどん)・高野豆腐と椎茸の煮物・

天狗のギョーザ・チンチン(アチチ)の味噌汁・

日清焼きそば・芋の子の煮物・

イワシのから揚げ・じゃが芋のサラダ・

朝食限定の塩鮭・ねぶか(ねぎ)の粕汁・

チキンライス・大根と昆布の煮物・

辛子菜の漬物・イワシのぬた・

干イワシ(めざし)・小イワシの塩ゆで・

ブリの味噌漬け焼き・わらびの酢の物・

金頭(かながしら)の味噌汁・海老グラタン・

自分で作ったごま味噌・長芋の煮つけ・

なすの漬物の煮たの(漬けオランダ)・

上肉野菜炒め・イカの鉄砲焼き・

風月堂のケーキ・平野屋のおもち・

金時豆の煮豆・おかゆと梅干・

山口菓子店(小松)の起こしあめ・

焼きふかし・かんぴょうだしのそうめん・

タラの粕漬け焼き・カツ丼・

ニシンとつる豆の煮物・

卵とほうれん草のおすまし・

つる豆と油揚げの煮つけ・

柚子みそ・昆布だしのお雑煮・

サッポロ塩ラーメン・サバのムニエル・

森八の福梅(ふくんめ)・

夜ごし(菜っ葉をゆでて味噌で和えたものを

冷やご飯の上に乗せて蒸した小松の料理)・

大根おろしと厚揚げの酢和え・

大和デパートのあやめ団子(みたらし団子)・

クリームシチュー・なすびとそうめん・

りきちゃんのたこ焼き・口細カレイの煮つけ・

大根ずし(ニシン)・チンチンの牛乳・

その他いろいろ……。


とてもじゃないけどお供えできません。

食いしん坊の父でした。



精霊馬・精霊牛の作り方

割りばしをはさみで半分に切って、

なすときゅうりそれぞれの4か所に刺します。



また精霊馬は

とうもろこしの先端の毛の部分を

短く切った楊枝にからめて

きゅうりのお尻部分に差し込んで

しっぽにするとお馬さんらしくなります。




精霊(しょうりょう)馬と精霊牛は

あの世とこの世を行き来するための

乗り物です。

シュールですね~。





 
お盆」といえば、きゅうりとなすを

こんな風に”お盆”にのせて

飾りますよね。

夏の風情があって私は好きです。



ところでこれ、何を意味しているのか

知っていましたか?

私は全然知りませんでした。



きゅうりは馬

なすは牛を表しているそうです。



ご先祖様があの世からこの世に

来るときは馬に乗ってなるべく早く、

そして戻る時には

牛に乗ってゆっくり帰って下さい……

との願いが込められているそうです。

これ面白いと思いませんか?




夏に採れるきゅうりやなすを

馬や牛に見立てて、

ご先祖様に少しでも楽をしてもらおうという

わけですね。




魂だから飛んで帰るのかと思ったら、

馬や牛っていうのがのんびりしていいです。




いかにも馬に見えるような曲がりきゅうりと

牛に見えるようなデブッチョなすを選びましょう。





今年もコロナでどこも盆踊りは中止だと

思うので、家の中でご先祖様の前で

盆踊りを踊ってあげることにします。

一番簡単な炭坑節をユーチューブで練習して

せっかくなので浴衣を着て踊りたいです。


お盆の行事といえばやっぱり盆踊りです。


ご先祖様の霊をなぐさめるための念仏踊りに

庶民の娯楽としての要素や

豊作への願いが加わり、

各地でいろいろな盆踊りができました。



旧暦の7月15日は十五夜、

そして旧暦16日は

十六夜(いざよい)です。

昔は満月の月明かりだけで明るく、

夜通し踊ることができたそうです。



”月明かりだけ”で

盆踊りを踊るなんてロマンチックですね。

あこがれます。

その点では昔に生まれたかったかも。


 


私は正直言うと、ご先祖様は

私の心の中に存在していて

お墓には何もないと思っています。


いないと思っているのに、

1年に1回はお墓に行って、

茂った草をむしってすっきりきれいにして

冷たい水をかけてきます。

自分の中で矛盾しています。


それにしてもご先祖様が家に帰ってくるのなら

どうしてお墓詣りに行くのでしょうか?

先祖不在のお墓じゃないですか!

留守墓参りですよね。



と思っていたら、地方によっては

家からお墓まで家族が歩いて迎えに行って、

4日間一緒に過ごして、

またきちんとお墓に歩いて送っていくという

地方もあるらしいんです。

それならわかりますね。



つまりお盆の間4日間はお墓はからっぽなんです。

でも私の家のように自宅とお墓が遠い場合は

どうするんでしょうか。

一緒に車で???



複雑で矛盾がいっぱいのお盆ですが、

その変なところが楽しいと思います。


 
お盆をわかりやすく言えば、

この世で暮らしている私たちが、あの世からやって来た亡くなった人のたましいを

お客さんとして1年に1回、食事や盆踊りでおもてなしをするということですね。

ご先祖様と楽しく過ごすことにしましょう。

 
 

どじょうのかば焼き






みたまおこわは黒豆おこわです。

金沢ではお盆だけでなく、法事や

建ち前(上棟式)にも食べます。


お盆に食べるものと言えば、

別に決まりがあるわけではありません。

でも私はせっかくお盆なので昔から金沢で

夏に食べられてきた懐かしいものが食べたいです。

亡くなった両親や祖父母も

食べたいんじゃないかなと思います。


金沢の昔からの夏のおかずといえば、

”どしょうのかば焼き”

”なすびとそうめん”、

”みたまおこわ”

”イカの鉄砲焼き”

と相場が決まっています。

 

 


私は実際に作ったことがありませんが、

魚屋さんの知り合いから聞いたところによると

①小さめのスルメイカの内臓と軟骨を抜いて、

ゲソは粗みじん切りにする


②ゲソをおからの煮物に混ぜてから

イカの胴に8割ほど詰めて楊枝でとめる


③蒸し器で3分ほど、イカの色が変わるまで蒸す
(または炭火で焼く)


④生姜あんたれを作る

水・砂糖・醤油を煮立たせ、おろし生姜を加え

水溶き片栗粉でとろみをつける


⑤イカに生姜あんたれをとろりとかけて、


⑥食べやすく輪切りにしてお皿に盛る



その中でも、特に”イカの鉄砲焼き”が

私にとっては”金沢の夏!”という感じです。

夏を代表するおそうざいなんです。


この料理名自体は全国にありますが、

金沢の鉄砲焼きはイカの中に

おからの煮物を詰めるところが特徴です。


梅雨が明けて真夏になると魚屋さんに並び、

基本的に家で作るおかずではありません。

夏は暑くてなるべく火を使いたくないので

こんなおかずを魚屋さんが作って売るというわけです。

うまいことできていますね。

今は知りませんが、昔は魚屋に

鉄砲焼きが並ぶとすぐに売り切れるので

欲しい時、母は予約していましたね。



味も美味しいのですが、そのインパクトのある

名前と姿が人気のおかずです。

 


鮭と青じその混ぜごはん のレシピは

こちらから


鉄砲焼きは魚屋さんで買ってきて

楽をするとして、家では何を作りましょうか。

夏のみずみずしい青じそをたっぷりのせた

目にも鮮やかな鮭ごはんはどうでしょうか。

大皿にドーンと盛ればお盆にもぴったり。





漢字で「紫蘇」と書きますが、

中国で昔、子どもがカニを食べて

食中毒になり、その時に紫蘇を煎じて飲ませたら

蘇生(生き返った)ことから来ています。

お盆にぴったりでしょう?


青じそはさわやかで強い香りで大好きですが、

栄養もトップクラスだそうです。

ビタミンKやB2が豊富で

特にベータカロチンは野菜の中で第1位です。

意外と知られていませんが、

人参や小松菜などと同じく緑黄色野菜なんです。

そして青じそ特有の香りは

嗅覚を刺激して胃酸の分泌を促し、

食欲を増進させると言われており、

また強い防腐作用・抗菌作用があります。

  
 

けんちん汁のレシピは

こちらから



いくら暑いからと言っても

冷たいものばかりでは体によくないので、

温かいけんちん汁を作ります。

日本の代表的な精進料理です。


 



20年くらい前に

鎌倉の建長寺に

行ったことがあります。

その時に境内で掃除を

していたお坊さんに

けんちん汁のことを聞いてみました。

すると意外なことに、

ほとんど食べていないとのことでした。

え~! けんちん汁の発祥地ですよ!

それなのに、それなのに

ほとんど食べられていないとは……。

ちょっとしたショックを受けました。


 
けんちん汁は

神奈川県鎌倉にある

禅寺の建長寺で

初めて作られました。


建長汁(けんちょうじる)

がなまって

けんちんじるになった

と言われています。


もともと「煮る」か「焼く」が

主流だった日本の調理法に

素材を油で炒めてから

煮るという方法を取り入れたのが

中国から禅の教えを伝えた、

建長寺初代の住職さんでした。



野菜くずを捨てることなく

使うためにけんちん汁は考えられ

豆腐を手でくずして入れるのは、

修行僧が落としてしまった豆腐を、

住職が捨てずに、洗って

汁に入れたことに由来します。

偶然の失敗が作ったレシピですね。

 


抹茶あずきミルクアイスのレシピは

こちらから


そしてお盆のデザートには

抹茶あずきミルクアイスにしましょうか。

何となく抹茶とあずきが

お盆らしい感じがします。

何の根拠もありませんが、

ただ何となくです。

 
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