【天狗直伝”円八のあんころ”】~60歳からの市販のお菓子日記~


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(株)円八(えんぱち)

  実は円の漢字はもっと
  むずかしい字です。

●本店住所

  石川県白山市成町107


●電話番号

  076-275-0018

  0120-175-109
  (フリーダイヤル)

  

●公式HPがあります

http://www.enpachi.com/


●営業時間(本店)

   8:00~18:00



●定休日  年中無休(本店)


●420円

 


あんころ(もち)は合成語です。

あんこ(餡子)+ころもち(団子の形をした小さなお餅)だそうです。


 


赤福あんころ餅



とら屋のあんころ餅



円八のあんころ






日本三大あんころ餅を知っていますか?



一番有名なのが

三重県伊勢市の赤福あんころ餅




次に岡山県倉敷市のとら屋のあんころ餅、






そして私の地元の石川県白山市の

円八のあんころです。

あんころ餅が正式名称ですが、

地元では誰もそんなことを言う人はいません。

”円八のあんころ”です。


赤福に比べると、円八のあんころは

全国的に有名ではありません。

というのは、その賞味期限の

短さによります。

お土産にできないんですよね。

添加物なしの昔ながらの製法で

作っているので長期保存できません。



でも最近はかなり有名になって、

金沢に来た観光客が

お土産にはできないけれど、

金沢で食べていくらしいですね。

 
以前、赤福をお土産にもらったことが

ありますが個人的にはがっかりしました。

円八のあんころの方が

ずっとずっと美味しかったからです。

決して地元のお菓子をえこひいきしている

わけではありません。

赤福は甘過ぎてたくさん食べられませんでした。

円八はぺろっと食べられるのに……。


円八のあんころと言えば、

地元では昔からお馴染みのお菓子で、

食べたことがないという人は珍しいです。

竹の皮に包まれたあんころ餅が

現在(2022年)420円です。

 


私はあんころの竹の包みを見ると、

いつも江戸時代にタイムスリップします。

水戸黄門のドラマに出てくるようで。








一見ひっついているように見えますが

実は9個のおもちが並んでいます。

3×3=9です。


竹の皮を開くと、あんころ餅がぺったんこ

なっていますが(つまり、つぶれています)

そこがまた魅力です。

まず
竹の皮の香りを楽しんでから頂きます。

   
そのあんこは甘過ぎず、

小豆そのものの味が楽しめるんです。

あんこには”粒あん”と”こしあん”が

あります。私はたいてい粒あんの和菓子が

好きなんです……円八のあんころを除いて。



あんころを食べ終わった後、

竹の皮に残っているあんこを

人差し指で全部すくい取って食べるのが

子どもの時からだ~い好きでした。


 
それではご先祖様から伝わる

天狗伝説について、円八さんのHPに

書いてあったので紹介します。

なかなか、おもしろいんですよね。

 
 
 1737年6月のこと

村山家(円八さんの苗字)2代目の主人が

42歳の時、裏庭に羅漢かしわ(別名あすなろ)

の苗木を植えました。

 
   
創業が江戸時代の1737年ということは

今から280年以上ということになります。

つまり、8代将軍の徳川吉宗の時代

…あの暴れん坊将軍です…に

創業されたんですね。

 
   
「私の願いがかなったら、大きく茂る」

とお祈りして、翌日の夕方

妻子を残して行方不明になったそうです。


残された妻子は生活苦に悩まされました。

 


 






 
その年の秋の真夜中、妻の夢枕に

天狗の姿になった夫が立ちました。

天狗になった夫は


「私は京都の鞍馬山で天狗について

修行している。今、お前に教えることがある。

これこれの作り方であんころ餅を作れば

息災延命、商売繁盛となる。」


と言って、夢から姿を消しました。



つまり、天狗になった夫が

妻にあんころのレシピを

教えてくれたということなんですね~。

すごいお話です。


だから円八の家紋は

天狗の扇だったんですね……。



それにしても天狗になった主人は

もう家に帰ってこれなくなったんですかね。

これってよかったことなのか

悪かったことなのか

どっちとも言えません。





 

円八のホームページより


「円八のあんころは、もち米と小豆と砂糖だけで

作るシンプルなお菓子です。

そのあんこは北海道十勝産の

小豆から作られます。

小豆を蒸すことで、でき上がったあんこは

さらっとした食感になります。

毎朝、午前2時にボイラーに火をつけ、

あんころを作り始めます。

我が家の裏庭には今でも羅漢柏の木が茂り、

天狗堂のほこらが鎮座しています。

天狗堂には毎朝毎夕欠かさずに

参拝することを日課にしています。

代々、庶民の味を追求してきましたが、

まだまだ完成とは思っていません。

でも小銭数枚で買える気取りのない

スタイルは守り続けていきます。

一包みのあんころ餅がご家族だんらんの

お役にたてますように……

そんな思いを込めてお菓子作りに励んでいます。」

 
 
今から20年以上前、私の娘が武道館で柔道の稽古をしていた時に、

たまたま、ある一人の円八の従業員の方も一緒に稽古していました。

その時に、その方が


「円八は少しずつ進歩しています。その味は江戸時代のあんころとは違います。

我々は常に向上するように日々努力しています。」


とおっしゃったそうです。従業員の方々も皆さんよく勉強してらっしゃると感心しました。


 




円八のあんころのこしあんですが、

 実はとても手間がかかっています。

普通は小豆を炊いてあんを作りますが、

円八では、生あんを
蒸して水にさらして

あくぬきをするという工程を3回もくりかえすという


非常に手間をかけています。

この製法で作っているのは

日本でも円八さんだけ
だそうです。


 あんころの製造方法(HPより)

   http://www.enpachi.

com/user_data/howto.php



 
 

金沢駅ではあんころの

入荷が1日に3回あるそうです。

1回目……午前8時頃

2回目……午前10時頃


3回目……午後2時頃

 
金沢駅や小松空港、デパート、近所のスーパーでも

地味~に置いてあるにもかかわらず、

売り切れるそうです。



この
作り過ぎないというポリシーが好きですね。

正直な無駄のない商売をしています。

儲かるから余るほど作ってどんどん売る

という商売が多い中で珍しい。


円八のあんころは

たっぷりの砂糖や食品添加物を使ってないので

賞味期限が当日限りなんです。

次の日にはもう売れないから

その日に売り切れる分だけを

作っているんですね。

フードロスをなくす取り組みを

ずっと前からしています。素晴らしい。



赤福はどうでしょうか。

夏は2日間、冬は3日間です。

私の想像ですが、たくさんお砂糖を使っているので夏場は2日間保存できますが、

冬になると、腐るというよりも、お餅が硬くなるので、お餅のやわらかさを保つために

添加物を使っているので3日間大丈夫ということなんだと思います。

スーパーに売られている生菓子でも長期間保存できるのは添加物が入っていますから

同じことだと思います。


 
 

円八のあんころの通販について


円八のあんころは冷凍で送ることができます。

冷凍保存期間は発送日から1週間、

消費期限は解凍当日となっています。

室温で自然解凍4~5時間です。


余ったものを冷凍するのではなく、

最初から冷凍して発送するということです。

はっきりと書いてあるのがいいです。


そういえば、愛知県に住む夫の友人が

たまたま円八のあんころを金沢で食べて

大ファンになり、冷凍で送ったことがあります。


 
ご存知のように赤福は2007年に

食品偽装事件を起こしました。

(現在は改善されたのかもしれないので
あくまでも昔の話ですが)


  赤福はたくさん作っていたので、

決して売り切れになることはありませんでした。

つまり必ず余っていたということですよね。

赤福は余ったあんころ餅を冷凍保存して

それを解凍して解凍年月日を

製造年月日に偽装して

また販売していたそうです。




ここで大切なことは冷凍保存して売るのが

悪いわけではなく、

それを隠していたということです。

 
   
日本には

「屏風と商売は広げ過ぎると倒れる」

ということわざがあります。

もちろん場合によりますが、

それは真実だと思います。

 
   
明治31年、国鉄北陸線開通と同時に、

円八のあんころは

松任駅の構内でも売られるようになりました。


(松任市は現在白山市になりました)

 
 


  ”わがまちの偉人鉄道客迎えた売り声”  

西 健次(1930年ー2009年)  

松任駅であんころ販売


  先日、2022年5月18日の中日新聞の

「わがまちの偉人」コーナーで

円八のあんころの販売員だった

西 健次さんのことが出ていました。

以下、その抜粋です。

 
 
 

西 健次さん

  煙をもうもうと上げた蒸気機関車(SL)が

松任駅のホームに滑り込むと、

客車の窓から、あんころ餅を求める

乗客の腕が伸びる。

「あんころ、あんころ~」

張りのある売り声を響かせながら、

首にかけた立ち売り箱から取り出した

  あんころ餅を、一人一人に手早く売りさばく。

二十代から約40年近く、

和菓子店円八のあんころ販売員として、

駅に立ち続けた。

 
 


  子どもの頃、金沢駅から蒸気機関車に乗ったら、

松任駅でおじさんが

「あんころ~、あんころ~」と

掛け声をかけながら

あんころを売っていたのを思い出します。

あのおじさんはもしかして

西さんだったのかもしれませんね。


 あんころ餅は、「天狗から作り方を習った」

との伝承を持つ同社の和菓子。

  なめらかなこしあんに包まれた餅が、

爽やかな香りの竹皮に包まれている名物。

  旧国鉄時代、松任駅ホームに立って、

駅弁売りのようにあんころ餅を商う姿は、

北陸線の風物詩として親しまれた。

  客車の窓が固定式になり商品の受け渡しが

できなくなったため1997年駅売りを休止した。

  列車が駅に停車している時間は3分ほど。

あらかじめ釣銭を用意するなど工夫を重ねても、

大勢の客をさばききれないこともあった。

中には、客が代金を支払う前に、

列車が出発してしまうこともあったという。



  家ではあまり仕事の話はしなかったが、

妻の伸代さんは代金を支払いに

わざわざ戻ってきた客の話を聞いたことがある。

「まだおおらかな時代やった。」



退職後も、町で買物をしていると

「あんころ売りのおじさん」と

声を掛けられることもあった。

時が過ぎ去っても、そのひたむきな姿は

故郷の甘い思い出とともに、

人々の記憶に残り続けている。



 
 というわけで、いつもは

スーパーの和菓子売り場で買っているんですが、

生まれて初めて本店に行ってみました。

金沢方面から行くとバイパス8号線の乾東を

右折してまっすぐ進んで

松任商店街の中にありました。

あんころを売っているだけなので

もっと小さなお店かなと想像していましたが

ど~んととても大きなお店でした。



 

家紋の天狗の葉うちわです。

 
 
   
行ってみて驚いたのは

あんころだけ販売しているわけでは

ないということでした。

普通の和菓子屋さんのように

和菓子全般、何でもあるんですよ。


 
 

なんとあんころ入りのソフトクリームまで!

個人的には絶対食べたくないですけど。

 
 
   
こんなかわいい天狗人形が

ショーウインドウの中に飾ってありました。

 
 

 

最初は丸く作ったあんころもちが

竹の皮に入るとつぶれてしまうんですが、

本店には竹の皮に包まれていない

つぶれてないまん丸あんころが

売られていました。



でも、これってあんころじゃないですよ。

やっぱり竹の皮の香りが移って

ぺったんこになっているあんころが

正統的なあんころでしょ………

……と言っても、

こんなかわいいまん丸あんころが

好きな人もいるでしょうから

人それぞれです。

 
”うちわせんべい”というお煎餅もありました。

天狗の葉うちわせんべいですね。

 
 
   
本店で買ってきたあんころです。

江戸時代の人もこんな竹の皮に

包まれたあんころを食べていたんですね……

現代において、タイムスリップできる

数少ない包装じゃないですか?

素晴らしい。

 
 

竹のひもをほどいて、竹の皮の包みを開けると

大好きなぺったんこのあんころ!

ペタ~っとしたこしあんが最高!


 
1包みに9つのお餅が入っていますから

中に刺してあるつま楊枝で切り分けて

1つずつ食べていきますが、

その時に、1番ベストは3人で食べることです。

つまり1人3個しか食べられない

ということになりますが、

その
「ああ、もっと食べたい…」という

不足感
がさらに美味しさを醸し出します。


そんなケチくさい……と思う方は

ど~んと1人1包み食べてくださいね。


 

 
せっかく本店に行ったので、

他の商品も買ってみました。

これはうちわ最中です。

 
 
抹茶生クリームどら焼きも

美味しそうだったので買ってみました。

 
2022年6月
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