【氷室のまんじゅうーNo.5】~60歳からの市販のお菓子日記~


 場所・電話番号 インターネット情報 料金(税別) 

越山甘清堂
  (こしやまかんせいどう)

  市内に金沢駅百番街など
  8店舗あります。

住所

   金沢市武藏町13-17
    (本店)

電話番号

   076-221-0336 
     (本店)

  

公式HPがあります


  https://www.koshiyamakanseido.jp/


越山の

  氷室のまんじゅう  

      1個145円

 

●樫田堂(かしだどう)

住所 

  金沢市金石1-4-7

電話番号

  076-267-2464

 

樫田堂の

  氷室のまんじゅう 

    1個140円


毎年7月1日(旧暦の6月1日)、金沢では「氷室のまんじゅう」と呼ばれる

おまんじゅうを食べる習慣があります。


昔、私が子どもだった頃は、母の実家のばあちゃんが

氷室のまんじゅうをいっぱい持ってきてくれたものでした。

娘の嫁ぎ先に氷室のまんじゅうを持っていくという風習がありましたが、現在は知りません。


金沢の和菓子屋では6月の下旬から

このような氷室まんじゅうの”のぼり”が出ます。

ラーメン屋で「冷やし中華」の、

のぼりがでるみたいなものです。

   
 
 
和菓子屋ばかりでなく、近所のスーパーから

コンビニにまで

氷室のまんじゅうは並びます。 

金沢の街が氷室一色になります。


 
 
氷室まんじゅうについては

金沢の人には好みがそれぞれあります。

私は 「こっしゃま」 で今年は買いました。

金沢では越山のまんじゅう屋のことを

「こっしゃま」と言います。

明治創業130年以上の和菓子屋です。

イオン杜の里のお隣なのでわかりやすかった。

町中にもありますが、車では行きにくいので

郊外のお店に買いに行きました。

 
 

もち米や米こうじを使った酒種を小麦粉と混ぜて、

生地を発酵させて、小豆あんを包んで

蒸したのが酒まんじゅうです。

発酵が足りないとかたい酒まんじゅうになり、

発酵し過ぎると、蒸した時に破裂して

しわしわの酒まんじゅうになるそうです。


酒種に含まれるアルコール成分は

蒸すことで蒸発しますが、アルコール分が

なくなってもお酒の香りやうま味が残り、

風味豊かな酒まんじゅうとなります。

 


 こっしゃまの氷室まんじゅうは酒まんじゅうなので

もっちもっちの皮が魅力です。


皮が薄くなくて、ぶ厚いところが特徴です。

皮に少ししわができているくらい

発酵が進んでいるからおいしいんじゃないでしょうか。


今年は氷室らしい「緑」と

「ピンク」と「白」の三色を買いました。

包みを開けると、ふわ~っと

お酒の香りが広がりおいしい!

夫と1個半ずつ

食事のあとのデザートでしたが、

甘さがあっさりしているので

軽~く食べられました。

 甘いのが好きなら物足りないかも。

 
 
 ”こっしゃま”の看板のおまんじゅうが

焼きまん(酒まんじゅう)です。

これは氷室のまんじゅうよりも

はっきり言って何倍も美味しいです。 

昔、隣の富山県に住んでいる叔母がわざわざ

金沢に買いにくるほどのものでした。

酒まんじゅうを焼いてあるのが美味しいんですね。


 
 
氷室のまんじゅうの3色は

花見団子やひな祭りのひしもちの色と

同じですが、どんな意味があるのでしょうか?

ピンク(赤)は魔除け、白は清浄

緑(青)は健康と長寿

の意味があるようです。

 
   


緑(青)が健康・長寿を象徴する色というのは

初夏の若葉など緑のものは生き生きとした

生命力のようなものを感じるからかな。

長寿村のことをブルーゾーンと言いますが、

これと関係があるんでしょうか?


調べてみたら、ベルギーの人口学者が

長寿者が多いイタリアのサルデーニャ島を

調べた時に、たまたまその場所に

青色マーカーで印をつけたことに由来するそうです。

偶然とはいえ、面白いです。


 
 ところで、なぜ氷室なんでしょうか?

加賀藩では冬に積もった雪を「氷室」という

貯蔵庫に保存していました。

毎年旧暦の6月1日に雪を取り出して

江戸の将軍に献上していました。

 
氷室で貯蔵してあった雪氷を取り出す日が

「氷室開き」です。

江戸時代には、雪氷は莚と笹の葉で

何重にもぐるぐるに包み、

二重の桐の長持ちに入れ、4日間昼夜を問わず

走り続けて届けられたそうです。

かわいそうに……。

到着した頃にはほんの少しになっていたそうです。

金沢では現在でも毎年6月最後の日曜日に

加賀藩が江戸幕府に雪氷を

献上していたとされる際の行列を再現しています。

夏の訪れを告げるイベントとして

必ずニュースで取り上げられています。


 
「氷」は昔、特別な存在であり、

体に溜まった熱を取り除き、

暑さをうち払うといわれていました。

しかし、冷蔵庫のある現在と違い、

庶民の手には届かない貴重品でした。

氷室まんじゅうはひとりの菓子屋のアイデアでした。

江戸時代、片町の道願屋彦兵衛という

生菓子屋が考え出しました。

風流人だった彦兵衛はまんじゅうに

どうしても「氷」を取り込みたかったので

冬の間、雪の下でじっと耐えている麦を

使うことを思いつきました。

 
氷室のまんじゅうの皮には2種類あります。

麦まんじゅうと酒まんじゅうです。

金沢の和菓子屋でも

麦まんじゅうの店と酒まんじゅうの店に分かれます。


でも元々は麦まんじゅうだけでした。

麦は雪に耐えて育つ強い生命力のある植物です。

だから麦を食べると

病気にならないと信じられてきました。

 ということはパンを食べると病気にならない

ということになりますよね。変です。

 
昔ながらの麦まんじゅうを守っているのが

柴舟小出(こいで)の氷室まんじゅうです。



酒まんじゅうよりも賞味期限が3~4日と長いので

お酒や麹の香りが苦手だとか、

遠方に送りたいのであれば

麦まんじゅうの方がいいですね。

 
 

創業50年を超える、酒まんじゅうで有名な

老舗のまんじゅう屋さんです。


今年は人気店の1つの

金石の「樫田堂」さんの氷室のまんじゅうも

食べてみたくて日を改めて買いに行ってきました。


朝8時開店なので、9時に行けば余裕で買えると

思ったら、何とすでに売り切れでした~。

何でも7時半から行列なんだそうです。

知らなかったです。

 
 
というわけで、仕方なく

麦まんじゅうを買ってきました。

看板の酒まんじゅうが食べてみたかった。

氷室まんじゅうは本来、麦だからと

気を取り直しましたが、食べてみてがっかり。

やはり酒まんじゅうが好きです。

 


もちろん好き好きですが、私は越山が好きです。

お酒の香りがほとんどしませんでした。


越山が金沢で一番人気だと言っても、

自分で本当に食べてみないことには

信用できなかったんです。


先日、樫田堂さんで麦まんじゅうを買った時に、

ご主人から聞いたお話が面白かったです。

氷室まんじゅうと普通の酒まんじゅうは

違うものではなく、氷室の時期でない時には

「酒まんじゅう」として売られていいるとのこと。

な~んだ、包装が違うだけなんですよ。

それならというわけで、金石に用事があった時に

酒まんじゅうを買ってきました。

どうしても樫田堂さんの酒まんじゅうも

食べてみたかったので………。

もう執念ですね、こうなったら(笑)。

 
 
三国志で有名な「諸葛孔明」(しょかつこうめい)が

暴れている川を鎮めようと、

小麦で作った皮で肉を包んだものを

お供えしたのが、

おまんじゅうの始まりだと言われています。

それって「肉まん」じゃないですか!!!

 
 
日本には留学僧によって

鎌倉・室町時代に伝わってきました。

その時に精進するという宗教的理由で

肉ではなく、小豆から作るあんこに変わりました。

ずっとずっと後になって、肉まんは普通に

日本で食べられるようになったんですね。

 
2020年7月
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