キャンディペラヘラ祭りで踊る象がいた


【60歳からのスリランカ一人旅】

  古都キャンディはコロンボから北東へ100kmの内陸部にある町で、町全体が世界遺産です。コロンボに次ぐ町で人口は10万人で、シンハラ王朝最後の都です。そして有名な8月のペラヘラ祭りは10日間にわたります。今年(2014年)は8月1日〜10日で、最後の10日が満月の日です。日本のお盆と日にちがよく似ているというのは、不思議です。どこかでつながっているのではと思います。釈迦の歯は、もとはもちろんインドにありましたが、それを持っていた王が攻められ、敗戦を悟った王妃が髪の中に結いこんでセイロンへ持ってきたといわれています。
  象使いたちはペラヘラが近付くと、うきうきするのだそうです。国中の象がキャンディをめざして移動します。昔は野宿をしながらでしたが、今はトラックで運ばれます。ペラヘラ祭りは、仏歯を載せた象(ラジャ)の他に100頭もの象が練り歩くパレードです。
ここはキャンディの中心部にあるクイーンズホテルのフロントです。キャンディのほぼ中心に位置する150年以上の歴史を持つホテルです。このホテルの前に、ペラヘラの時だけ、有料席が作られます。もちろん他のお店の前にもかなりたくさんの有料席があります。
  毎年、大統領や首相もキャンディにペラヘラ祭りを見に来ます。町で軍隊のトラックを見たので、ドライバーに聞いたら、大統領の護衛車ということでした。ペラヘラ祭りには、必ず大統領をはじめとして大物政治家が来るそうです。
  この木製の階段がペラヘラの時だけ、特別に設置される階段です。席を予約してある人は、7時半になると、名前が呼ばれ、名前が呼ばれた人から、この階段を上って、ホテル前の自分の席に座ります。
  仏歯には雨をもたらす力があると信じられています。このことはキャンディに来るまでは、全然知らなかったことでした。当日、雨だったので、いやだな〜と最初は思っていたのですが、実はいいことなんだと知りました。実際、今年も、ちゃんと雨が降りました。めでたしめでたし。
  最初に聞こえてきた音はいつも早朝、寺から聞こえたお参りと同じ、独特のプージャの音色でした。プージャ、そして油と火の強い匂いが印象的です。隣はアメリカ人女性でよく話しました。
Elephant footsteps are quiet than I thought
 .(象の足音は思っていたより静かだね)
Some elephants are dancing.(象が踊っているね)
象はとても静かに歩きます。それに比べれば人間って体が軽いくせに、ドンドンとうるさく歩きます。
  パトカーの先導で、行列がやってきました。”パシーン”という音は、地面をムチでたたいている音です。
  高い高い竹馬みたいなものに乗って、火を振り回しています。振り回すだけではなく、ポーンと火を上に投げて、受け取ったりもします。見ているだけでこわいです。 
  軽くやっているように見えますが、ちょっと間違うと、体に火がつきます。
  見たこともないような高い竹馬みたいなもので歩いています。しかも、火の輪を持っていますから、おそろしい。
  一番、おもしろかったのは象が音楽に合わせて、踊ることでした。あの大きな体で鼻や耳をふりながら、足をあげたりして踊ります。しかも楽しそうな表情なのです。でも仏歯を載せる象は踊る象ではだめで、おとなしくて、落ち着いた象でなければならないのです。 性格がものをいいます。
  象が耳をふりふり、踊っています。でも顔につけた電飾はかわいそうでした。たぶん熱いだろうし、目がチカチカすると思います。
  キャンディアンダンスを踊っています。見事なダンスでした。そのあとをマハラジャみたいな恰好の男性が歩きます。お腹がポーンとでているのは、何か入れているのでしょうか?それとも自分のお腹でしょうか?
  火と象のきらびやかな衣装が古都キャンディにマッチします。 仏歯を載せる象をラジャといい、体も大きく、堂々としており、他の象とは全く違います。周囲の騒動に動じず常に冷静で堂々とした賢い象が選ばれます。人格ではなくて、象格が必要だということです。
  丘の上のホテルに戻ったのは、夜中でした。1時半くらいまで下の町は賑やかでした。その後は、ぴたっと静かに。
   朝から、地元の人達は敷物をひいて、陣取りしています。ペラヘラ祭りが始まるのは、夜7時半くらいからですから、12時間くらい、待たなければなりません。昔、子供の頃、金沢の百万石祭りを見るために陣取りしていたことを思い出しました。
  キャンディの町の中心部の駐車場です。ここに車を入れて、仏歯寺横の象を見に行きます。
  裸足で歩く人も結構います。足がもう慣れていて、熱くも痛くもないんですね、きっと。私も裸足が好きですが、道路はさすがにサンダルを履いていました。 
  椅子席は有料ですが、その前の段は無料とのことです。 
   椅子席はクイーンズホテルだけでなく、いろいろな所に設けられています。でもその予約は相当、早くからしておかなければならないそうです。
  仏歯寺横の公園みたいなところで寛ぐ人たちです。向こうに象が見えます。象とニワトリのコントラストが面白い。
  町には、あちこちに駐車場でなはく、“駐象場”があり、象がつなげるようになっていました。私はこの駐象場が見たかったのでした。 
   象使い(マフィート)が、小象に水をかけています。意外だったのは、大きな大人の象より、小象の方が鳴いてうるさいということでした。いくら子供でも、やはり象の鳴き声は大きいのです。ここがジャングルなら響き渡るでしょう。人間でも子供はギャーギャーうるさいし、同じです。
   ごろんと横になって、水をかけてもらう小象は、かわいいものでした。これで足に鎖がなければ、もっといいでしょうが。
   象使いが持っている黄色いものは何か、ドライバーに聞いてみたら、椰子の皮でした。椰子というのは、皮まで利用できるものなんですね。人間なら痛いのでしょうが、象にはちょうどいい刺激で気持ちがいいのだと思います。ちなみにヤシの木はむだになる部分がないと言われています。
  実  ココナッツジュース・ココナッツミルク
                油・ろうそく・石鹸
  殻  飼料や肥料・椰子殻炭
  実の外皮  ロープやたわしの原料
  葉の中軸  掃除ほうき・料理の串
  幹  屋根材や柱材
  その動画です。夜、ペラヘラ祭りで頑張らなければならないので思う存分、洗ってもらっています。
  象の足です。 
   かわいいおめめの小象です。牙がまだ小さい。
  小象がホースを上手に使って、お水を飲んでいるところです。ホースをこんなに上手に使いこなす動物は、他にいるでしょうか。賢いし器用だと思います。
  夕方、キャンディアンダンスの公演を見に行きました。
昨日、ペラヘラパレードで 1人、キャンディアンダンスの素晴らしく上手な中年男性がおり、とても印象に残りましたが、何とその人がここで踊っていたのです(写真左の男性)。本当に見とれてしまいました。説明書によると、キャンディアンダンスの名手になるためには随分長い間の修行が必要らしいです。それにしても、このダンスの最後のメインイベントらしいのですが炭火の上を素足で歩くのはやめた方がいいと思います。伝説か何か知りませんが、あんな見世物みたいなことをしなくても、キャンディアンダンスは十分素晴らしい。
  その名手の動画です。
  火を自分の腕につけている男性です。どうやって鍛えるのでしょう。
  うちわで炭火をあおいで、さらに温度を上げてから、火の上を歩きます。こんな見世物が好きではありません。
  ペラヘラ最終日の10日は、丘の上のホテルから歩いて、ドライバーとキャンディの町を散歩することにしました。 
  スリランカでは、あちこち道路の工事中です。 
  ここは映画館だそうです。時間があれば、最後の日にコロンボで映画を見たいと思っています。 
  キャンディの中心部に着きました。時計台が見えます。 私は北の方から、車でキャンディに来ましたが、コロンボからならコロンボペター地区のバス乗り場からバスで3時間半で来るそうです。バス運賃も安く、280円くらいらしいです。今度来る時は、車でなく、バスで来るのもいいかなと思います。中古の日本製バスがここスリランカでは現役で活躍しています。鉄道はありますが、列車の本数や路線の数も少ないスリランカでは、庶民の足はバスが一般的なんですね。道路で見ていると、バスはお客がいれば、どこでも止まるので、なかなか進まないのも効率的でなくこの国らしくていいです。
  お坊さんが托鉢に回っていました。お店の人はひれ伏して、お布施( 食べ物)をあげていました。お金ではありません。
  キャンディの町です。ペラヘラ祭り(夜に行われる)を見るために朝から陣取りしている人たちがたくさん座っています。トゥクトゥクがうまくあっち行きこっち行きして、通っていきます。
  パレードを待つ間、さまざまな物売りが来て沿道の人が買っていました。アイスキャンディキャンディで食べる子供です。
  ペラヘラルートの看板が、町のあちこちに、かかっていました。 
   仏歯寺の入り口です。もちろんここでも服装チェックがあります。
  仏歯寺はシンハラ語ではダラダー・マーリガーワといいます。ダラダーは仏歯マーリガーワは宮殿、城の意味です。仏歯は仏陀の左の犬歯とされ、4世紀ごろにインドからもたらされたとされています。12世紀から王権の象徴とされるようになり、それを持つものがシンハラ王国の正統な継承者とみなされました王の時代に一般仏教徒はその聖所に足を踏み入れることができませんでした。年に一度、ペラヘラ(行進)の時に見物できるのみだったのです。仏歯をペラヘラで開陳することによって恵みの雨がもたらされると信じられています。
ところで、なぜこんなにも仏陀の歯が重要だと思いますか?
仏陀は84000回説教したので、仏陀の口の中の仏歯にも直接84000回の説法が触れたことになるので、仏歯には力があるのだそうです。
お経の音が触れたものには力が生じるといわれ、お守りを作る時にも何千回とお経を唱えます。
驚いたことに、自分の稼いだお金をすべて仏歯寺に寄進する人もいるとのことです。それでも家族は怒らないそうです。
  
  スリランカの寺では靴・帽子は脱がなければならないです。ヒンズー教寺院でも同じですが。これは厳重で、男女別のゲートがあります。暑い時は靴下をはいた方が石の暑さを感じにくいですが、涼しい時や雨上がりなどは必要ありません。でも時々砂利もあるので痛いのが嫌な人は靴下をはいた方がいいです。
  独特なプージャの音楽が鳴り響く仏歯寺内には、多くの人々が集まり、参拝者で仏歯寺の院内は埋め尽くされていました。私はこのプージャの音楽が本当に好きです。
そのプージャのラッパの独特の音色をお聞き下さい。
   この部屋にあった絵は、まるでイタリアの宗教画のようでした。仏教でもこんな絵があるんですね。
   たぶん、釈迦が生まれた時の様子だと思います。
  この布みたいなものは、何かな〜と思って、見てみると、何と象さんたちのペラヘラの衣装でした。 衣裳部屋だったのです。
  電気の線が張り巡らされている衣装です。こんなものを身につけるのは、さぞかし暑いと思います。 
  針と糸で象の衣装を繕っている男性がいました。 ペラヘラの時の昼間の仕事ですね。こんな様子も見ることができて、興味深かったです。
  一日に3回プージャの時間に開く、特別な部屋(仏歯がある)があります。朝の5時30分、9時30分、そして夕方の6時30分の3回です。1年で1回だけ、ペラヘラ最終日の満月の日(ボヤデ―)に公開される仏陀の歯をたくさんの人々が拝みに来ていました。押しつぶされそうになりました。あとで左腕が内出血していました。拝みに来ていた人を見に来ただけだったので、罰があたったのかもしれません。
  仏歯寺内の様子の動画です。雰囲気が日本の寺と全く違います。
  八角堂という建物がありました。アメリカのペンタゴン(五角形)スリランカのオクタゴン(八角形)です。
  アメリカのペンタゴンは国防総省ですが、こちらは図書館になっています。  
  仏歯寺のオクタゴンから見た、外の様子です。象が見えます。
  伝説の象のルアン・ラージャの剥製を見ました。
ラージャというのは、“タスク(牙)を持つ立派な象”に贈られる共通の名前です。キャンディのペラヘラ祭りで最も重要な役目は「聖なる仏歯」を背中に乗せて行進する「象」です。何百人ものダンサーや曲芸を演ずる人に加え、数十頭の象に先導され、「聖なる仏歯」を背中に載せた象が主役として堂々と行進します。この役に選ばれた象は「仏歯寺」境内の中に入って「仏歯」を入れたカスケットを背中に乗せ、急な階段を降りてこなくてはなりません。また「仏歯」を運んでいるからには、 周りの騒ぎに動じないで常に堂々としていなくてはならないのです。
  この重要な役目は「ラージャ」という有名な象が65歳で亡くなるまで1987年まで50年もの長期間勤めていました。このラージャは1922年スリランカ東部のジャングルで生まれ1937年にキャンデー の仏歯寺に寄贈され、それ以来この重責を担ってきました。「ラージャ」は1985年には当時のジャヤワルダナ大統領から「スリランカ国宝」の指定を受けました。象は年をとると皮膚が赤くなっていきますが、このラージャも高齢で亡くなったのでそうでした。確かに普通の象とは全く違うと思いました。大きさ、品格、牙の立派さ、そして堂々としています。
  あの有名な ジャヤワルダナ大統領と撮った写真がありました。
  象のプー(ウンチ)です。繊維たっぷりです。 
   これからペラヘラに出かける象が、せまい塔をくぐっていきます。
   人間用の階段を、上手に登って行くのに感心しました。
  仏歯寺の出口を出て、そういえば、日本の昭和天皇が贈ったという木像を見ていなかったことに気づき、探そうとしていたら、どこからともなく、1人の男性が現れ、連れていってあげるといわれました。ところであなたは誰ですか?と質問すると、この寺のスタッフですみたいなことを言われ、じゃあお願いしますということで連れていってもらいましたが、途中、ここは何とかで、何々でとか説明しだしたので、は〜この人はプロのガイドだとわかり、私は仏像が見たいだけで、他の説明はいりませんと断りました。仏像を見た後も何かと説明したがるので、本当にいやでした。寺から出て、私はあなたにお礼をしたいですが、いくらくらいあげたらいいのでしょうか?と質問してみたら、
何と1000ルピーと言われたのには切れました。「は?私はこの寺に入るのに1000ルピー払ったんですよ。仏像の場所を聞くだけで、それは高すぎるのではないですか?」と抗議しました。適正価格の200ルピーを払いました。油断も隙もないところがおもしろい、この国は。
  他の国から贈られた仏像は金色か白色でしたが、日本の仏像だけは、木像で彫刻が細かく、地味ですが、表情も上品でした。別に日本びいきするわけではないけど、確かに美しい。 
  19世紀はじめに最後の王様によって造られた人造湖のキャンディ湖です。 世界遺産の仏歯寺の仏歯を守るため、実は仏歯寺周辺では車のクラクションを鳴らしてはいけないという法律まであるのです。同じ仏教国でも、日本とは本気度が違います。
   物売りから必死に何かを買おうとしている人たちです。そんなに皆が欲しがるものとは、何だったのでしょうか?
  今晩は、ペラヘラ祭り最終日のボヤデーです。
私のホテルにもプロのカメラマンらしき人が到着しました。何かの雑誌とかの撮影でしょうか。
  今日はペラヘラ祭り最終日の満月日です。
ホテルの部屋から外を見ていたら、お月さんが出てきました。
   きれいな満月です。
満月の日は仏教の祝日とされ、経済活動や不浄な活動は控える風習があり不浄な活動の中には、お酒を飲むことも含まれているのだそうです。 満月の夜はお酒禁止……いいですね。ロマンチックです。月の形でそんなことが変わってくるとは。
   夜はペラヘラ祭りで混雑している中心部は避けて、キャンディ湖の仏歯寺とは反対側の湖畔に行きました。仏歯寺がライトアップされてきれいです。
   毎年、ペラヘラ祭りの時だけ、ライトアップされます。
   スリランカは仏教国、それも純粋な仏教を現在に伝える国として知られています。仏教の大切な世界的行事がここキャンディで行われたこともあり、世界の仏教の中心と言われており、日本からも多くの僧侶が訪れているとのことです。
  クイーンズホテルの有料席は、私が見た8日には7000ルピーだったのですが今日10日のボヤデ―(満月)最終日には何と30000ルピーに跳ね上がったらしいとドライバーの友達のトゥクトゥクドライバーから聞きました。やはり最終日は高いんですね。
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