家庭訪問でカレーを手で食べてみた

 【60歳からのスリランカ一人旅】

  今回、私の計画した旅では、スリランカの家庭を実際に訪問して家族と一緒にスリランカカレーを作る体験が出来る家庭訪問を旅行社に頼んであったので、とても楽しみにしていました。約束していたお宅は、コロンボから1時間半くらいの郊外の住宅街の中にありました。ここら辺は高級住宅街でしょうか。塀のある家が多いです。敷地内にトゥクトゥクが止まっていたので、ドライバーにこの家はトゥクトゥク会社のオーナー?と聞くと、ドライバー付きのトゥクトゥクを所有しているんだということで、ちょっと驚きました。
  その家のしっかりした高校生の娘さんが、いろいろ案内してくれました。私たちは12時の約束なのに、11時に行ってしまったのでまだシャワーをしてなかったらしく、シャワーをしてきてもいいですか?と聞かれたので、Sure.Take your time.(どうぞ、ごゆっくり)と言いました。家の中はクーラーではなく、天井のファン(扇風機)を回していまた。その部屋から移動する時は必ず、ファンを消していく、省エネ意識の高い高校生の娘さんです。
  自己紹介をしてから、台所で料理を作りましょうと言われ台所へ。台所は食器棚がずらっと並んで、炊飯器や冷蔵庫、電子レンジなどがありました。
  これは水道なのか、屋上のタンクからの水なのか、井戸水なのか聞くのを忘れてしまいました。 スリランカでは上水道の普及率は都市部中心に30%らしいのです。スリランカは地質学上、井戸水にはフッ素が過剰に含まれており子供の虫歯が問題になっていると帰ってから、日本の新聞で読みました。フッ素は虫歯予防になるものだとばかり思っていたら、過剰摂取もいけないんですね。何でも”ほどほど”ということですね。
  この家の構成は、お父さん、お母さん、娘さん(一人娘)、いとこ、おばさん二人(お父さんの姉と妹)の6人家族です。娘さんによると、大家族なので、たくさんカレーを作っても、余らないとのことでした。

   カーネーションという日本のテレビドラマをずっと見ていたと言われ、最初何のことかわかりませんでしたが、小原糸子というファッションデザイナーの話と聞いてわかりました。NHKの朝の連続テレビドラマですね。もちろん有名なおしんも見たそうです。。シギリアロックのすずめばちの話をしていたら、スリランカ人で蜂の巣に石を投げる馬鹿がいて Some foolish peopleと言っていました。確かに。
左からたぶんメイドさん、高校生の娘さん、いとこさんです。
  左のオレンジ色のものは、ダルです。ダルカレーに使います。ここでダル(レンズ豆)についての説明をちょっとします鉄分が豊富に含まれており、貧血予防に、またビタミン類も豊富で疲労回復、美肌効果、風邪予防などに効果的。世界の5大健康食品にレンズ豆が選ばれたほど栄養価が高いのです。ちなみに残りの4食品は、日本の大豆、スペインのオリーブ油、ギリシャのヨーグルト、韓国のキムチです。小さい豆なので、水でふやかす必要がなく、そのまま料理に使えるのが利点です。
  紫玉ねぎを切らせてもらいました。スリランカに来て、お料理をするのは、なかなか、うれしかったのです。
  小ボンベのプロパンガスのガス台です。マッチで火をつけて昔懐かしい台所の風景でした。今日は4つの種類のカレーを作りますが、1つ1つ、この小さなフライパン鍋で作っていきます。
  ココナッツ油をフライパンに入れて温めます。油の量がそんなに多くないのでパキスタンとかと違うねと聞いてみたら、イスラム教の国では大量の油を使うけど、スリランカでは少ししか使わないとのことでした。同じカレー文化でもそれぞれ違うんですね。それでスリランカ のカレーはあっさりしているのでしょうか。
  画面は暗いですが、声が聴けます。ニンニクや生姜をゆっくり炒めてから玉ねぎや香辛料などを加えていきました。途中、娘さんが私に
”Do you eat spicy food?"
と尋ねています。
辛いもの好きな私は”Of course !!"と答えています。
  日本のカレーは肉や野菜をフライパンで炒めてから煮込みますがスリランカでは生の野菜をカレー粉やスパイスで和えてから、鍋に入れて短時間煮込んでいました。 結構、簡単な印象でした。スパイスさえ手に入れば、日本でも作れそうです。
  これはカレーパウダーです。とてもいい香りがしました。
  この”ふた”には見覚えがありました。桃屋の海苔の佃煮のびんです。たぶん日本人がおみやげとして持ってきたものでしょう。今は空き瓶をスパイス入れに使っていました。懐かしかった〜日本。
  これはゆでたじゃが芋です。ゆでたお芋をカレーパウダーやスパイスで和えてから、煮ます。 
  いとこさんが、材料とスパイスを手で和えています。手で和えるとなおいっそう、おいしそうです。早く食べたい……。
   ココナッツキリ(ココナッツミルクのこと)です。ドラムスティックカレーは水の代わりにココナッツキリで煮るので、黄色っぽい色のカレーになります。
  ココナッツキリ(ココナッツミルク)を加えて、混ぜてから火にかけます。
   この長い野菜はその形の通りのドラムスティックという豆です。
  指くらいの長さに切り、使います。実はこの豆は枝豆と同じようにさやは筋だらけで食べられません。枝豆の様に歯で中身だけを食べます。甘くてとてもおいしいお豆です。
  インド製のパパダンというものです。油でさっとあげて、カリカリにして、カレーに混ぜて食べました。
  パパダンを油で揚げているところです。穴あきお玉で揚げていますが、日本人の私からすれば、さいばしを使いたくなってしまいました。途中、お母さんが日本語で「スイカジュース」と私に持ってきてくれ、私「おいし〜い」と言っています。こんな声が入っていたとは、帰国してから気づきました。ビデオって面白いですね。意外なものが入っています。
  外出していたお母さんが帰ってきて、ミキサーでフレッシュな西瓜ジュースを作ってくれました。本当の100%ジュースですね。それはそれはおいしかったです。
  カレーの副菜のサラダ(シンハラ語でサンボルといいます)を作っています。大きなきゅうりの皮をむいて、うすく切っています。
  料理の途中で、3階を見せてもらいました。バルコニーはお花がいっぱいで素敵でした。 
   驚いたのは一般家庭にお寺の様な仏様があったということです。お供えがしてありました。バックの絵はたぶん、仏陀が悟りを開いた菩提樹です。朝晩お参りするそうです。
  もうひとつ驚いたのは、仏陀のお隣にヒンズーの神様が飾られていたことでした。ここの家の人達はシンハラ人で仏教徒なのになぜ、ヒンズー教のものも置いてあるのでしょうか?不思議でした。同じ家に、仏教とヒンズー教が同居。でも、よく考えたら日本も仏教と神道が同居しています。同じですね。
この点についてはあとで調べたら、仏陀は数千いるヒンズーの神々の中の1人なのだそうです。つながっているんです。
   このお花は日本でもよく見かける花ですが………。
  実は1つの花びらをよく見ると、ドレスを着たキャンディアンダンサーにそっくりなのです。自然が作った偶然です。娘さんはこの花をキャンディアンダンサーと呼んでいましたが、スリランカではそういう名前なのでしょうか。面白いですね。
  3階のこのバルコニーは高校生の娘さんの勉強コーナーです。涼しくて勉強がはかどるとのことでした。いいですね。 お医者さんをめざしているとのことで、頑張って下さい。
  この動画の中のメロディーは、訪問販売車からだそうです。 ちょっとした食べ物や雑貨を売りにくるらしいです。日本でも同じように、訪問販売車があって焼き芋屋、灯油屋、夜泣きラーメン、さおだけ屋、アイスクリーム屋などがあり、全部音楽が違うと話しました。私が歌った焼き芋屋やさおだけ屋のメロディー、面白かったのか、お母さんに喜んでいただきました。
  お昼ごはんが出来ました。メニューは白いご飯、ダルカリー、フィッシュカリードラムスティックカリー、ポテトカリー、きゅうりサンボル(サラダ)、そしてデザートのカードです。昼からすごい御馳走です。
   ココナッツキリ(ミルク)で煮込んだドラムスティックカリーです。ドラムスティックカレーは、スプーンでは食べられないカレーです。手で枝豆みたいに中の豆だけをシュッーっと食べます。甘くて本当においしい野菜。日本では食べられません。
   これはポテトカリーです。日本のカレーライスの中のじゃが芋とは全然違う味です。別物ですね。どっちもおいしいですが。モルディブフィッシュ(鰹節)を入れていたと思います。。スリランカも鰹節を使うとは驚きです。近くの島国のモルディブがその産地であるためにモルディブフィッシュと名付けられています。鰹節にはモルディブ起源説もあります。昔、モルディブから東南アジアを経由して日本にもたらされ、その後日本においてカビ付けの工法が考案されたという説です。野菜のカレーに味出しのために、これを使うそうです。ところで近くのモルディブはかつては仏教が栄え、スリランカと同じシンハラ語を話していたのですが、12世紀にいっせいにイスラム教に改宗してシンハラ語も話されなくなったとのことです。
  ダルカリーです。ここのお宅のダルカリーは家庭料理らしく、やさしい味でした。スリランカのおふくろの味みたいな。 
  これはフィッシュカリー。水で煮るので色が濃いです。私はこのカリーが一番好きでした。ドライバーもこれが好きらしく、一番最初になくなりました。
  きゅうりのサラダはキューカンバーサンボルといって、太いきゅうりと玉ねぎを塩とライムで味つけしただけだが、あっさりと本当においしい。

  真ん中のおせんべいみたいなものは、パパダン。油でさっと揚げてカレーの合間につまみます。 
  ここで初めてスリランカ風に手で食べるのに挑戦しました。手で食べるのは確かにスプーンで食べるより美味しかった。特にドラムスティックカリーはさやから豆を出して食べなければならないので、スプーンでは食べられません。手で食べるのは、日本人にとってはなかなか難しいのですがなぜかおいしい!!!
  ドライバーのお昼ご飯まで、ちゃんと用意してくれていました。私が「手で食べるのは、初めてだから、見本をみせて」と彼に頼んだら、見せてくれました。さすがにスリランカ人です。上手。
  デザートのカード(水牛ヨーグルト)の右横にあるビンには例の椰子蜜が入っていますが、今回はマンゴーをカードに混ぜて甘味を出し、蜜はかけませんでした。 
  食後のキリティー(ミルクティー)です。紅茶が日本の急須に入って出てきました。日本好きのお父さんの好みでしょうか。
  お父さんは仕事で不在でしたが、写真がありました。日本大使館で長年(1984年から)日本語を習っていらっしゃってペラペラです。仕事は日本語ガイドです。娘さんがわざわざ、お父さんに電話してくれ、日本語で話しましたが、まるで日本人と話しているようでした。お父さんの古い日本の友達は現在99歳だそうです。お父さんはキャンディ出身、お母さんはゴール出身です。
  予定の14:00になったので、家族の昼食の時間だから、もうおいとましなくてはと言うと、大丈夫だからもっといて下さいと言われ、楽しいのでお言葉に甘え、そのままおじゃましていることに。私がジープサファリに行かなかったといったら、それはもったいない。どんな動物がジャングルにいるのかパソコンで見せてあげますとのことで、3階のパソコンルームです。
  パソコンで動物写真を見せてもらっていたら、お母さんがカレーを持ってきて娘さんに手で食べさせたのにはびっくり。小さな子供みたいで、かわいい。パソコンをさわっているので、手が汚くなるわけにはいかないし、食べさせてあげたのですね。なかなか面白い家族の風景です。飾らない家族のひとコマです。娘さんの英語はきれいなブリティッシュ英語で、聞きとりやすい英語でした。
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