料理で前頭前野が活性化


                                              川島隆太   東北大学加齢医学研究所長


                                        2017年5月中日新聞コラムより






料理を作ることも、作動記憶トレーニングとして有効と考えています。調理をしている時には、手順が大切になりますの

で作動記憶が必要になります。



また、さまざまな調理をしている時の脳の働きを計測したことがありますが、包丁で野菜の皮をむくだけでも、前頭前野が

強く活性化していました。
面白いことに、皮むき器(ピーラー)を使うと前頭前野は働きません。楽をしてはいけないよ

うです。



作動記憶トレーニングは、
ぎりぎりの難しさにチャレンジしないと効果半減なので、毎日おなじみのメニューばかりを作っ

ていてはだめです。できるだけ
新しいレシピにも挑戦するようにするとよいです。とはいえ、味の保証はしません。



退職後の男性や子供たちに、調理をする習慣を持たせるという実験をしたことがありますが、作動記憶力の他、
さまざま

な能力が伸びる
ことが分かっています。



普段調理をされている方は、それを手放さないことが重要です。高齢期に入り、認知症の症状が出始め、火を使うと危な

いので、調理はさせないようにしたという話をよく聞きますが、それは
認知症の症状悪化を加速させるだけです。